私 と 、NUMBERGIRL 。2

お待たせしました、お待たせしまくりました。

おおよそひと月が経ち、やっと記す気になったので、読んで、想像して、酩酊して、浸っていただけたらと思います。

ネタバレオンパレードです。何卒。

 

▷ ▷ ▷

 

7月27日

私は真昼間ガールを聴きつつ、太陽の指すあついあつい新宿に居た。

新宿に来るのも初めてだし、何なら1人で東京に来るのも初めてのくせに、耳にナンバーガールという味方をつけ、日常の風景に溶け込みながらタワーレコードへ向かった。

だが、ナンバーガール特集のフリーペーパーは既に無くなっていた。

せめてもと思い、展開されている所を拝見した。

NO MUSIC NO LIFE。

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おどけた向井、横で笑いを堪えるひさ子、笑顔のアヒト、真顔のナカケン(ナカケンは変わってないか...でも表情の柔らかさが増してる)。

以前のナンバーガールでは想像のつかないポスターが、長い時を経て復活したんだなと実感させてくれる。

実感した後は足早に宿へ戻り、向井秀徳作の安室奈美恵がプリントされた激ダサいMATSURISTUDIOのTシャツへ着替えて、チケット片手に会場へと急いだ。

その姿で歌舞伎町を歩くと、浮きすぎていて、耳についた味方の音も聞こえないくらい恥ずかしかった。

だがそんな恥ずかしさもすぐ吹っ飛んだ。

会場前にたむろする同志達を見たからだ。

何百人とが各々、空を眺めたり、じっと目を瞑ったり、ぼーっとしたり、壁にもたれたりしていた。

誰も騒いだりしていなかった。

同伴で来ている人達すら小声で話していた、あの歌舞伎町の雑踏の中で、だ。

一人一人が己のナンバーガールへの思いを馳せて準備運動している、異様な空気だけが漂っていた。

私もやっと我に返り、ただ会場を見つめていた。

 

順番に呼ばれて、会場へと入る。

さすがキャパが狭くプレミアライブというだけあって、かなり厳しく身分確認を行っていた。

厳密に言うと、ひとり残らず全員、身分証を手に持ち住所氏名、顔が一致しているかをチェックされた。

もちろん不正ルートで入手した人達は皆、落胆したり泣いたりして会場を去っていった。

ここまで徹底されているのは私も初めてで、自分が当てたチケットなのに少しドギマギした。

 

そんな空間を抜けてドリンクを交換したのち、次にいつライブに行けるかも分からず、これが最後になる可能性だってあるので...後悔のないよう、潰されてもいい覚悟で3列目で開演を待っていた。

会場前以上に静かな時間が流れており、音楽も一切流れず、誰一人として喋っていなかった。

私の横の人はずっとソワソワ風景を眺めていたし、前の向井風のハットにシャツにチノパンの客もイヤフォンをして精神統一していた。

 

開場時間ピッタリだったと思う。

お馴染みのMarqueemoonが流れ始めて、一気に会場のボルテージがあがる。

メンバーが出てきて、さっきまでの静寂は一瞬で消え去り、客全員が一斉に叫んだ。

 

私は、1曲目に何を演奏するかを、当日のひと月前から毎日欠かさず考えていた。

でも大きく外れた。予想の斜め上をついてきた。

ずっしりと重く太い、ベースが響く。

鉄風 鋭くなって」、だ。

これを予想できた人は会場内に居たのだろうか?

そこから一気に前に詰め寄りフロアが熱気に溢れた。リズムにのって拳を突き立てる。

向井が、発狂した飼い猫〜♪と歌い出す。

その歌詞通り、全員が発狂した。

ナンバーガールが確かに存在したのだ。

 

あっという間に終わり、すぐに2曲目。

裸足の季節

序盤後のキュイーンという音からの(語彙力がなくてすいません)アップテンポに合わせて、会場全体の雰囲気もさらに上昇する。

ひさ子の大サビ前のキメキメのギターに叫びまくる。

もう既に脳内からっぽ。

「考えるな、感じろ」状態。

 

確か(興奮しすぎて曖昧だが)ここで向井が第一声を放ったと思う。

第一声、「おひさーかたーの、ぶーりぶーり」(久方ぶりって事ですね、はい)。

もちろん会場は笑いに包まれた。

以前と違うのは、隣のひさ子が普通に笑っていたことだ(アヒトは角度的に見えなかったが多分笑顔だったのじゃないかな)。

今はメンバー間もとても和やかな関係性なんだなと感じた。

いや、もちろん前からそうだったとは思うが、ライブ中のMC含めた謎のキワキワの緊迫感というものは緩んでいた。

だからといって、曲の質や向井の鬼迫ある歌声は変わっていない。

 

向井が放ったのはその挨拶だけ、すぐにアヒトのカウントが入る。【殺・伐】!

3曲目、「タッチ」

メジャー移籍後初アルバム1曲目に関わらず攻めまくっているこの曲。

通じあわないで!触れあわないで!

この頃にはみな、思い思いの踊りをしていた。

 

曲が終わると、向井が「福岡市博多区から参りましたナンバーガールです」と発す。

もうこの時点でお察し。狂喜乱舞。

「ドラムス、アヒト・イナザワ」...

4曲目、「OMOIDE IN MY HEAD

序盤はもちろんひさ子が背中でギターを弾いているのを目撃。そしてじわじわと曲の始まりに向かい、フロア渾身の【オイ!!!】

私は以前活動していた頃は音源や映像でしか観たことがない。完全に後追い世代だ。

だが、後追いだからこそ狂っているレベルで聴き漁っていた。その手段でしか空白を埋めることが出来なかったから。

そんな昔の自分の映像と、ラストライブの映像と、目の前の映像がキラキラと流れていた。

改めて感動しつつ、噛み締めて聴いた。

 

「売れる売れない二の次で、かっこのよろしい歌ば作り、聞いてもらえりゃ万々歳。そんなあたしは傾奇者。人呼んで、ナンバーガールと発しやす。」で、お馴染みのあの曲。

「ヤバイさらにヤバイ」と向井の歌い出しが始まり、大合唱。バリヤッバーーーイ!!!

5曲目、「ZEGEN VS UNDERCOVER

叫んでた、ひたすら叫んで狂ってた。

ナンバーガール、バリヤバ。

 

この頃にも曲の間に向井が発するのは「おひさーしのぶーりぶーり」とかだけだ。

久しぶりとしか言わないし、復活に関する事なんて一切口にしない。

6曲目、「YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING」

ここでこの曲が染みる。ちょうど火照りすぎた身体を冷却しつつ客観的にナンバーガールを観れた。

もちろん冷めきってなんかいないし日常に比べたら火照りまくっているが、少し落ち着くというか、そんな感じ。

メンバー一人一人を眺めた。最高。

 

曲が終わりしばらくして、向井の前口上。

「市役所通りに消えていった、そんなあの子は透明少女...」 、キタァーーーー。

7曲目、「透明少女」

私は以前の記事にも記したが、漏れなくこの透明少女を初めて聴いて、耳にこびりついて離れなくなってからナンバーガール沼に浸水した。きっかけの曲である。

向井みたいなおっさん(褒めてます)が歌っても、相変わらず、どうしようもなくキラキラしていた。

 

曲終わり、私は、透明少女をしたわけだから次は落ち着いた感じの曲がくるかなーって油断していた。驚いた。

近くの女性もエー!!!と叫んでいた、わかる。

8曲目、「水色革命」

メジャー移籍前の、賛否両論と青さに満ち溢れた幻のアルバム、Schoolgirlbyebyeに収録されているこの曲、これがまた良い。てか良すぎ。

ナンバーガールならではの青春の歌という感じがして、とってもとっても好きなのでニヤニヤしながら聴いた。

夢、かもね!(ほんと、夢のようだぜ!)

 

お馴染みのメロディーが聞こえてきて、反射的にみんなでカウントする。

【ワン・ツー・スリー・フォー!!】

9曲目、「日常に生きる少女」

私はどの曲の歌詞も好きだが、シンプルな事を向井の声で歌うあの瞬間が堪らなく好きで、この曲の歌詞も、とっても普通なのに忘れがちなとっても大事な事を歌っている気がして大好きだ。

なんとなーく肯定された気になる、幸せ。

 

【殺人的なジョークで死にたい】♪

10曲目、「sentimental girl's vaiolent joke」

良い曲だよね。意味不明な歌詞は多いけど、この歌詞は心からそう思う。

どうせ死ぬなら、殺人的なジョークで死にたいね。

切なくもエモく、どこまでもまともな歌。

私含め、会場が聴き入っていた。

 

アヒトのあのカウントが始まりオーっとなる。

【U・S・録・音!!!】

11曲目、「Destruction Baby」

...切ないんだよなぁ。

映画の主題歌にも使われていて、この歌のために映画を見に行きたかったけど、内容的に...暴力シーンが苦手で行けなかった。

シンプルにかっこよく、心に響く曲。

 

ここまでしばし浸っていたけど、すぐにまた全力で暴れる展開がきた。

12曲目、「NUM-AMI-DABUTZ」

「ひっつよーなぁぁあい!!!」の大合唱。

向井は現役で冴え渡っていて、全然衰えずにあのスピードで歌っている。

後に入った情報では、アヒトがめちゃくちゃ笑顔で楽しそうだったとのことで...

あー今度はアヒトも見れる角度に行くぞ、と心に誓った(まずはチケットだけど)。

 

ここにきて、ついに。ひさ子のギターで感知、会場のボルテージが瞬く間にMAXに。

13曲目、「TATOOあり」

うおおおおぉってなってた、ひたすら。

向井・ひさ子ポジを陣取ってよかったと特に感じた...もうこのソロを何回聴いたことか...どのライブだろうと間違いなくかっこいい...鳥肌。

鳴いて喚くギター、さすがでした。

今回のアレンジも言わずもがな最高。

 

興奮し過ぎて息してたか覚えてない所に...

14曲目、「EIGHT BEATBR」

ダダッダダダッダダダッダダダッダ!! 跳ねる。

向井の冒頭の(アツレキ)の言い方が、いちいちカッコイイし、様になる。

コミュニケイションふ、の、う!

コミュニケーション不能だけど、確かに今この瞬間は、この音楽で皆が繋がっているなと感じる。そんなテンション。

 

15曲目、「IGGY POP FAN CLUB」

ここでこれか!分かった!といった感じで、そのまま継続して跳ね続けてた。

ナンバーガールが解散前に演奏した最後の曲で、それまでもたくさん演奏されてきたのだろうけど、やはり改めて聴いても、窓際で恋に黄昏れる甘酸っぱさと苦さと少しだけ前向きなじれったさを感じる。超いい。

キリのいいところで演奏するとは思っていたが、アンコール前の最後の曲に相応しかった。

 

 

そしてメンバーが去り、アンコールの手拍子。

普段全く水分を摂らない私だが、手元の水に目を向けると数口分しか残っていなかった。

すぐに飲み干し、終わったらビールだなと思いつつ一緒に手拍子して待機した。

まもなくナンバーガールが舞台に戻ってきた。

 

ナンバーガールからは「今日は来てくれてありがとう」という旨を、サラッと話しただけ。

あとはずっと向井が久しぶーりぶーりって言ってるだけ、横でその都度ひさ子が笑ってる、それだけだった。ナンバーガールらしさ満載。

 

アンコール1曲目、まさかまさかの

OMOIDE IN MY HEAD (2回目)」

もっかいするの?!とは思ったが、もちろん最高でした。なんか少し落ち着いて聴けて、むしろ良かった。ありがとう、謎のセットリスト。

 

アンコール2曲目

懐かしい曲をする、といったような話を確かしていたと思う(本当に曖昧ですいません)、その後に始まったのが

「トランポリンガール」

なんと自主制作したカセットテープに収録されている方だった。

意表をついてくるから、ただ呆然と、うぉぉ...となっていた。そこがアンコールにくるのか、と。

野音では両方のバージョンを披露したらしいので、機会があれば生で聴き比べしてみたい。

 

アンコール3曲目

これが最後の曲になるわけだが、何で〆るのかな?と考えていたのも束の間、すぐに始まった。

ずっしりとした音が響く。

「I don't know」

【ハイハイハイハイ!!】と、フロアが一体になって、全力で叫びまくる。

何もかも忘れて、ただひたすらに、叫ぶ。

向井も思いっきり叫ぶ。混沌。

出し切った。

 

曲が終わり歓声の嵐。

メンバーを呼ぶ声と、復活ありがとうという声が、ずっと響いている。

そんな中、向井が酒を片手に【乾杯!】と発し、颯爽とメンバー全員が去っていった。

フロアは、無の、魂が抜けた殻達が、立ち尽くしたり、フラフラと出口を目指していた。

私もただ呆然と歩いてビールを買い、終演後に残っていたグッズを買い、会場を見渡しながら外へ出た。

外では、既に出ていた同志たちが、口を開けて虚無を見つめて整然と座ってタバコを吸ったりビールを飲んだりしていた。

 

本当の意味でみんなが、ナンバーガールが、自分の全てをぶつけて、出し切って、重なり合った瞬間だった。

全く言葉がまとまらないまま、復活への感謝と、必ずまた観るという気持ちで心の中はいっぱいだったように感じる。

 

ありがとう、ナンバーガール

好きでいて良かった。

全く変わらない、むしろ進化した音の重なりを身体いっぱいに染み込ませた。

 

これから目撃する人は、期待しかしなくて良いので思い切り楽しんでください。

私も惜しみなく楽しみます。

全国ツアーも新たに発表されたので、必ずやチケットもぎ取るぞー!

 

では、長々とお読みいただきありがとうございました。

(中級〜楽曲紹介をすると言いましたが、気力が高まればいずれ...という事で←)